配偶者控除の適応範囲拡大2~控除と税金

前回、そもそも控除って何?
ということでお伝えをさせていただきました。
https://ringworks.net/archives/252

今回は改定になった配偶者控除についてお伝えします。

配偶者控除に関しては、平成29年までは妻の年間所得金額(※1)が38万円以下の場合(※2)に夫の収入から38万円が控除されました。

給与収入のみの場合は年収103万円以下です。

※1:給与所得者は、収入がある場合には最低65万円の「給与所得控除」がある
ため。(給与所得控除=個人事業主の経費にあたる控除。収入によって控
除金額が変わります。)
個人事業主の妻の場合は、その年に得たすべての収入から必要経費を引い
た金額になります。

※2:所得税には収入を得ているすべとの人に対して「基礎控除」として38万円
があるため。
住民税の基礎控除は33万円です。

この配偶者控除の適応範囲が平成30年からは、年間の合計所得金額が85万円以下に変更となりました。
給与収入のみの場合は年収150万円以下になります。

妻の所得がそれを超えた場合は「配偶者特別控除」となり、夫の所得からの控除金額が徐々に減っていきます。

 この変更で実際にどの程度の違いが出るのでしょうか?

夫の収入による所得税の税率は控除の大きさにもよりますが、
今回は税率10%として考えます。

住民税は所得割で10%とします。

 妻が給与収入のみで、120万円の年収があった場合、

平成29年までは、配偶者控除が適用される103万円を超えていますので、
配偶者特別控除として21万円が夫の収入から控除されます。

この場合、所得税・住民税とも21万円の10%21,000円、
両方で42,000円の減税でした。

平成30年からは、120万円の年収は配偶者控除の適用範囲ですから、
38万円が夫の収入から控除されます。

この場合、所得税・住民税とも38万円の10%38,000円、
両方で76,000円の減税となります。

同じ収入であっても、平成29年までと平成30年以降では夫の税金が34,000円違ってきます。

 このように、今までは103万円を超えると妻自身に所得税・住民税がかかるだけではなく、夫の収入に対する配偶者控除がなくなり、配偶者特別控除になることを気にして収入を抑えていた方が、103万円を意識しなくてもよくなります。

ちなみに103万円を超えることで、妻が払うべき税金は、

所得が税率の最低の範囲内であれば所得税が5%、住民税は10%
その他に住民税の均等割(標準税率は市町村民税3,000円、道府県民税1,000円。ただし、自治体により、財政上必要があると認める場合は変更することができます。)がかかります。

所得税=(総収入-103万円)×所得税率 5%

住民税=(総収入-98万円)×住民税率 10%

ただし、他に生命保険料控除等の控除がある場合は、総収入から引くことができます。

総収入が120万円である場合には

所得税は (120万円-103万円)×5%8,500

住民税は (120万円-98万円)×10%22,000

合計 30,500円になります。

 

平成29年までは、妻の収入を103万円から120万円に増やすと、
配偶者控除の関係で夫の税金が34,000円増えて、
妻の税金が30,500円増えたので、合計64,500円増税となっていました。

平成30年からは、妻の税金分の30,500円が増税になる計算です。

金額はあくまでも目安ですので、個々の事情により変わることがあります。

平成30年からの配偶者控除の適用範囲の変更についてご理解いただけましたでしょうか?

働き方とお金の関係は、個々の事情によって変わってきますから、
ママが企業を考えたり、再就職しようかなと思ったら、
一度FPに相談してみることをお勧めします。

ゆめサポママ@ながの 共同代表
リングさ―クス事業部 部長
北村 きよみ(ファイナンシャルプランナー)

女性の社会進出や、働き方改革が叫ばれる中で、企業の中で女性の地位向上や、働き方の仕組みを変えるという方法ではなく、企業に属さないプチ起業したママをバックアップし、同時に企業や世の中の困りごとを解決できる仕組みを目指します。

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